Business process improvement cycle can be shortened by process mining.
今回は、業務プロセス改善サイクルに必要な時間は、従来の手法(現場ヒアリングや観察調査など)と比較して、プロセスマイニングではどの程度短縮できるかについて考察します。
業務プロセス改善は、大きくは以下の3つの段階に分けることができます。
・プロセス可視化のための作業(データ収集からプロセスフロチャート作成まで)
・分析作業(問題抽出)
・改善作業(改善施策の検討から成果検証まで)
下図は従来手法とプロセスマイニングのそれぞれについて、上記各段階の所要時間をイメージとして示したものです。(実際の所要時間はケースバイケースですが、平均的にはおおよそ下図の長さになります。
まず留意いただきたい点は、改善作業は、従来手法もプロセスマイニングも所要時間は同じということです。
改善作業においては、リーン、シックスシグマ、制約理論などの手法を用いて、分析により抽出された問題(非効率やボトルネックなど)の根本原因の解明を行い、具体的な改善方法を検討し、改善計画を策定、現場に展開。後日、改善が成果を収めているかを検証するまでが含まれます。この作業について、従来手法、プロセスマイニングのどちらも大きくは変わりません。(ただし、継続的モニタリングはプロセスマイニングでないと現実には行えませんが)
プロセスマイニングによって劇的な時間短縮効果があるのは、プロセス可視化のための作業です。
プロセスマイニングでは、まず、ITシステムからイベントログ抽出を行いますが、これは基本的に短期間で完了する作業です。また、抽出されたデータをクリーニングし、プロセスマイニングで分析できるフォーマットに変換する作業は複雑であり、相応の期間を要するものの1カ月以上っかることは稀です。さらに、プロセスの流れを描いたフローチャートの作成は、プロセスマイニングツールにイベントログデータをアップロードすれば自動で作成されます。
したがって、従来手法では依然、現場でのヒアリングや観察を行ってデータ収集を行っている期間中に、プロセスマイニングでは可視化が完了し、分析作業をスタートすることができます。
一方、従来手法では、データ収集のための現場ヒアリングや観察調査に多大な時間が必要なことに加えて、それをとりまとめるデータ整理も楽ではありません。しかも、フローチャートはモデリングツールを活用して手作業で作成しなければなりません。
従来手法でようやくプロセス可視化のための作業が完了した時には、プロセスマイニングを活用したプロジェクトではとっくにプロセス改善施策の現場展開が始まっているのです。
分析作業段階においても、プロセスマイニングツールのほうが、様々な視点で深堀り分析を行うことができ、スピーディに問題抽出が可能です。
結果として、業務プロセス改善サイクルを一回しする期間は、従来手法と比べてプロセスマイニング活用の場合は約2/3に短縮できます。(プロセス可視化作業の期間だけでは1/2以下)
外部環境が急激に変化する今、業務プロセス改善サイクルはできるだけ短縮化し、すばやく回し続けることが求められています。業務プロセス活動にプロセスマイニングを採用すれば、サイクルタイム時間の大幅短縮を成し遂げることが可能です。