Introduction to Process Mining (12)Process Enhancement
今回は、「プロセス強化」について詳しく解説します。
プロセス強化 - Process Enhancement
プロセス強化は、プロセス発見や適合性検査などで特定できた様々な問題(非効率、ボトルネック、逸脱など)に対して、根本原因分析を行って原因をつきとめ、改善施策を展開、より望ましいプロセスへと変革していく取り組みのことです。
プロセスマイニングの効用(下図)から、プロセス強化に関係する改善施策(右端)を見てみましょう。
まず、イベントログから可視化された現状プロセスの複数のバリエーションから、理想プロセスが発見できたら、これの標準化を図り、BPMシステムに実装・展開することで、標準プロセスが確実に実行できるようにします。併せて、マニュアルの開発も有益でしょう。なお、ここで「理想プロセス」とは、効率が高く、ボトルネック発生が少ない、また逸脱のないto「to beプロセス」であり、多くの場合、スループット最短、処理コスト最少となります。
また、プロセスの一部の工程がムダであるなら、ばっさりとその工程をカットしたり、適切な順番に手順を入れ替えたり、直列処理から並行処理に切り替えるなどの「プロセス変革」を行うことが有効である場合も多いでしょう。
こうしたプロセスの改善においては、モデリングツールに現状プロセスを投入して、BPMN形式のフローチャート上でプロセス改善のための再設計を行う必要があります。モデリングツールは、プロセスマイニングツールによっては既に組み込まれているものがあります。モデリング機能がないプロセスマイニングツールの場合は、現状プロセスをBPMN形式でダウンロードし、別途モデリングツールにアップロードして編集を行うことになります。
単純な繰り返し作業や定型手順となっているプロセスについては、RPAによる自動化の有力な候補です。RPA化に当たっては、タスクレベルの詳細な手順を把握する必要があります。このためには、現場担当者へのヒアリングを行うことになりますが、タスクマイニングによってPC操作ログを収集し分析すればファクトベースでのタスクフローの可視化が可能になるだけでなく、そのままRPAのプログラムに展開できる場合もあります。
なお、プロセス変革、RPA化に当たっては、プロセス改善による具体的な成果(リードタイム短縮、コスト削減、ミス低減など)がどの程度期待できるかを事前に検証したいものです。プロセスマイニングツールの中にはシミュレーション機能実装されているものもあり、そうしたツールを活用すれば、プロセス強化の成果を定量的に検証できます。
もちろん、モデリングツールにもシミュレーション機能が備わっていますので、モデリングツール上でのシミュレーションで効果検証を行うことも可能です。