Value Proposition of Process Mining based on VPC (Value Proposition Canvas)
当記事は、プロセスマイニングツール、および関連サービスを提供する方を対象としています。
さて、プロセスマイニングの導入・活用を検討している見込みユーザー(企業・組織)に対して、プロセスマイニングの価値をどのように説明したらいいのでしょうか。
そこで、今回プロセスマイニングの価値を適切に伝えるために役立つ「VPC (Value Proposition Canvas)」の枠組みを使って考えてみましょう。
まず、VPC (Value Proposition Canvas)について説明します。VPCは、ビジネスモデルジェネレーションの方法論において紹介されているもので、顧客ニーズを明確化し、そのニーズを充足するための価値提案の方向性を検討するために役立つ枠組みです。
VPCは、大きくは「顧客プロフィール」と「価値提案」の2つの要素に分かれており、両者をマッチングするように以下の項目を埋めていきます。
顧客プロフィール
・顧客の課題
顧客が解決したい課題、取り組みたいこと
・顧客の利得
上記課題が解決されることによって顧客が得る便益、うれしいこと
・顧客の悩み
顧客が課題解決に取り組む上での悩みや嫌なこと
価値提案
・利得をもたらすもの
顧客が得る便益を生み出す製品・サービスの機能や特徴
・顧客の悩みを除去するもの
顧客が抱える悩みを解消できる製品・サービスの機能や特徴
・製品サービス
実際に顧客に販売したい製品・サービス
では、プロセスマイニングのツールや関連サービス(データ前処理、ツール操作トレーニング、プロセスコンサルティングなど)について、VPCを作成してみましょう。
顧客プロフィール
・顧客の課題
業務プロセスの改善、またDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションの推進によってデジタルツイン(DTO: Digital Twin Organization)を実現すること
・顧客の利得
プロセス遂行の効率が向上する結果、コストが削減でき利益が拡大する
プロセスのリードタイム、スループットが短縮化され、納期等が早くなることで顧客満足度が向上
コンプライアンス違反となる逸脱プロセスを是正できコンプライアンス遵守率が向上
現在処理を行っている最中の案件について問題(ボトルネック化など)や逸脱を探知して即時是正
1回限りの改善ではなく、常にベターなプロセスを目指して継続的なプロセス改善が行える
・顧客の悩み
現状を把握するための現場担当者の協力を得るのが大変、ヒアリングやワークショップの調整にも手間がかかる(従来の手法では)
プロセスを分析するコストが高い(従来の手法では)
プロセスを分析するための期間が長い(従来の手法では)
プロセスマイニングの価値提案
・利得をもたらすもの
プロセスの見える化、根本原因分析が行え、容易に問題を発見し、改善できる
規範モデル(to beモデル)との比較分析により、逸脱プロセスを容易に発見、改善できる
シミュレーションにより、改善効果の事前検証を行える
予測分析により、現在進行中案件における問題発生を予防できる
リアルタイム監視により、現在処理中の案件の問題や逸脱を即時発見、是正
・顧客の悩みを除去するもの
情報システムから抽出したイベントログからプロセスが可視化できるため、現場ヒアリングの工数が削減できる
プロセス分析に係るコストも従来手法と比較して大幅削減できる
プロセス分析に必要な所要期間も、従来手法と比較して大幅削減できる
アラート機能で、問題・逸脱発生をリアルタイムに通知
・製品サービス
プロセスマイニングツール
関連サービス(トレーニング、データ前処理、プロセスコンサルテーションなど)
いかがでしょうか。これは私なりの価値提案であり、ご自身で「ここはちょっと違うな」と感じたところは、ぜひ修正してみてください。